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初恋には教訓の無いお話を

初恋には、教訓の無いお話を



バレンタインでーだのホワイトデーだのハートが飛び交う季節です。みなさんはお子さんの初恋に遭遇していますか?

初恋とはなんぞや。
もうこれは幾万通りの答えが期待できますが、ここでは、「母親だけに向けられていた愛情が他人に向けられる成長過程のステップや、他人を自分のものにしたいという独占欲」といたしましょう。

既になんらかの恋、及び愛を経験したみなさんではありますが、ここで、初恋の絵本をお子さんと読んでみませんか? 有名なのは、佐野洋子『100万回生きた猫』講談社と、まつおかきょうこさんが訳したガース・ウイリアムズ『しろいうさぎとくろいうさぎ』福音館書店。いずれも名作です。特に後者は『Rabbit Wedding』という英語版も入手可能。尚且つ、その英語も平易なので、初めてお子さんに英語に触れさせたい時にもオススメです。この2冊に関しては、検索すれば、山ほどオススメ絵本としてのレビューがあるでしょうから、ここでは敢えて、江國香織『桃子』旬報社をおすすめしましょう。


こんなお話です。

7歳の少女「桃子」は、家庭の事情で3ヶ月間だけお寺に預けられました。お世話係兼遊び相手に選ばれたのが19歳の修行僧の天隆。桃子を想う天隆と、天隆を慕う桃子。二人の関係はあやういものになっていきます。

なぜ、この絵本をすすめるのか。

同名小説の絵本版。「きみが好き!」と言わせたがるのが、子どもに向けた絵本の定石ですが、そんなに鈍感な心のつくり方をしなくてもいいのではないか、と思います。ひととひとが惹かれ合うことは、時に己の姿かたち、佇まいを変化させてしまう。

恋愛のもつ摩訶不思議な側面が描かれています。

私も子どもの頃、こういった「可愛い」とひとことで言い切れず、取り立てた教訓の無い、「どういうお話」とひとに伝えきることのできなかった作品を数多く手に取りました。そういったものこそ、強い印象に残っています。

成長が早いだとか、あれができたとか、その積み重ねで彼らがスムーズに生きる期待を抱き、指標や枠をもうけがちにはなりますが、生きることの醍醐味は、傍から見たしあわせや、既にあるモデルケースにはまることでは無いように思います。自分の身に起こったできごとを、どれだけ咀嚼できるか、ですよね。

「無難」な道を歩ませたくなるのが親心ですが、初恋を通して、改めて、カンジョウを超える世界を噛み締めてみたいですね。
公開日:2015年01月19日

Navigator 中村桃子

絵本や児童書の編集者、webプロデューサーを経て、現在、フリーランスプロデューサー。

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